東京都立大学 理学研究科 English 東京都立大学 理学部/理学研究科

教育改革推進事業

物理学における大学院教育のグローバル化

組織的な大学院教育改革推進プログラム(大学院GP)の取り組み

首都大学東京大学院理工学研究科物理学専攻は,従来からの大学院教育の実績や研究・教育上の協力を基礎として,物理学専攻の岡部豊教授(現在,本学物理学専攻客員教授)が代表者となって,分子物質化学専攻とともに,平成17年度~18年度に文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブ事業,平成19年度~21年度に文部科学省「大学院教育改革支援プログラム」(大学院GP)をそれぞれ実施いたしました。教育プログラム名称はそれぞれ「物理と化学の融合した視野の広い研究者育成」,「物理と化学に立脚し自立する国際的若手育成」でした。

これらの大学院GPの主要な取組み内容は以下の通りです。

  1. 大学院生の国際化:大学院生の国際会議派遣を支援すると共に,STINT(スウェーデン研究・高等教育国際協力財団)の国際共同大学院プログラムとタイアップし,4大学持ち回りのサマースクールを開催しました。また,科学英語講義および英語プレゼンテーション実習,海外語学研修も実施しました。
  2. 大学院生の自立的企画力の養成:提案型研究費の制度を充実させ,TA,RAを拡充し,教育・研究補助の経験を研究者育成に役立てました。中・高校生向けの講座において,大学院生が自立的に企画することを推進しました。
  3. 企業および社会と連携した大学院教育:内外の外部機関における研修を強く奨励しまし,連携大学院制度を拡充しました。キャリアセミナー「企業における博士号取得者の可能性と活躍の場」を開催するなど,大学院生のキャリアパスの拡大をはかりました。
  4. 専攻を越えた幅広い教育の実施:多角的な視野をもつ研究者を育成するため,両専攻にまたがる共通講義等,専攻横断型の教育制度の整備を行いました。
  5. 教育体制の一層の体系化:体系的な教育プランを明確にし,大学院教育におけるFD活動を推進しました。また,科学倫理に関する共通講義・セミナーを開催するなど,研究者倫理の教育指導を行いました。

「魅力ある大学院教育」イニシアティブ,「大学院教育改革支援プログラム」を通じて5年間で多くの事業を実施してきました。アメリカ合衆国,フィンランド,イタリア,ドイツ,フランスを含む国内外の研究施設に延べ22名の大学院生が研修に訪れ,各々の研究を大きく推進させることができました。そして延べ42名の大学院生が国際会議に派遣され,研究発表を行いました。また,大学院生自らが提案した研究に対して審査を経て研究費の補助を行いましたが,延べ199件の提案(半年ごとの研究計画)を採択しました。また,4大学国際サマースクールについては,2007年にスウェーデンのイェテボリ大学で実施した第1回には本学から4名,2008年に韓国のソウル国立大学で実施した第2回には7名,2009年に本学で実施した第3回には8名の大学院生が参加いたしました。

文部科学省の大学教育改革支援事業に採択された取組については,その補助期間が終了した後も,その間の成果や課題を踏まえ,自主的な取組として発展させていくことが求められました。それを受けて本学では,平成22年度より大学独自の事業として「首都大学東京教育改革推進事業」が設けられ,物理学専攻と分子物質化学専攻が合同で「物質科学における大学院教育の国際化の展開」という課題を提案し,採択されました。予算規模は限られていましたが,大学院生の国際会議派遣や,国際共同大学院プログラムの継続実施に重点をおきました。2010年8月にソウル国立大学の教員,大学院生を招いて第2回日韓セミナーを実施し,大学院生のポスター発表会等で交流を深めました。また,ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英先生をお招きし,大学院生との交流会を企画すると共に,一般向けの講演会を開催いたしました。

平成23年度~29年度においても,引き続き理工学研究科教育改革推進事業として物理学専攻・分子物質化学専攻の共同大学院教育プログラム「物質科学における大学院教育のグローバル化」を実施し,広い視野を持ったグローバル社会に通用する大学院生を育てることを目標に協力体制を維持・強化しています。それらの一環として,ノーベル賞受賞者の小林誠先生,鈴木章先生,梶田隆章先生をお招きしての講演会をそれぞれ実施し,先生方と大学院生との交流の機会を設けたり,企業セミナーを随時開催して企業の方との接触の機会を持てるようにいたしました。また,「首都大学東京 教育改革推進事業」の「海外インターンシップ入門・体験」と連携して大学院生のグローバル化を図るとともに,国際会議派遣なども積極的に支援・推進いたしました。

平成30年度からは,理工学研究科教育改革推進事業として物理学専攻独自の大学院教育プログラム「物理学における大学院教育のグローバル化」を実施し,大学院教育のグローバル化の取り組みを継承するとともに,大学院博士後期課程への進学奨励や大学院生の企画立案力養成を目標とした,新たな取り組みを進めて参ります。

事業実施報告

問い合わせ先

理学研究科物理学専攻教授・首藤 啓(2022年度GPコア委員長)

E-mail: shudo_at_phys.se.tmu.ac.jp  (_at_ をアットマークに変えて送信してください)

所在地
東京都八王子市南大沢1-1

電話番号
042-677-1111(代表)

東京都立大学理学部物理学科/
大学院理学研究科物理学専攻