1997年度講座
講座概要
(a)物理学基礎講座「統計力学への招待」・・・統計力学基礎
コーヒーとミルクを混ぜてかき回せば一様に混ざりますが、どんなにうまくかき混ぜてもそれらを再び分離することはできません。これはなぜかに答えるのが、統計力学です。非常に多数の粒子のふるまいを確率的な見方で扱います。ビデオを用いて易しく解説します。
(b)現代物理学の最先端
今ホットな話題を、最先端の研究を行っている講師があまりむずかしい数式を使わずに紹介します。
@「電気の流れるプラスチック−金属と絶縁体の差?」・・・プラスチック
一般的にプラスチックは電気を通さない絶縁体と考えられていますが、最近は炭素、水素、窒素などからなるプラスチックでも、電線の材料の銅と同様に良く電気を通す物質が作られています。物質が金属になったり、絶縁体になったりする理由を考えてみましょう。
A「カオス−単純な法則から複雑な自然現象へ」・・・カオス
私たちが日ごろ目にする多彩な自然現象は、物理で学ぶ単純な力学法則で果たしてどこまで理解できるでしょうか?“力学系のカオス”は、決定論的な運動方程式から、いかに予測不可能な振る舞いが生まれ、どのようにして目の前に広がる複雑・多様な世界が作られるか、ということを理解する1つのヒントになる考え方です。
B「タンパク質の分子機械−柔らかに動くミクロの装置」・・・タンパク質
生体の生命活動を担うタンパク質分子には、様々な種類があります。それぞれが固有の機能を持ち、単独で、あるいは、超分子集合体となって機械のように働いています。タンパク質分子の構造や性質を物理学の目で研究し、分子機械の働き方を理解しようとする生物物理最前線の主要課題を解説します。
C「クォークの作る世界」・・・クォーク
クォークは、電子や陽子のように、単体で観測することはできないと考えられています。それなのに、最近6番目のクォークであるトップクォークの存在が確認されたといわれているのはどういうことでしょうか。また、宇宙は初期のころ高温のクォークとグルーオンのプラズマの時代があったと考えられています。この状態を実験室で再現する試みや、クォークの世界の最近の話題を紹介します。