1999年度講座
講座概要
@「特殊相対性理論」−時はどこでも同じように過ぎるか−
時間はどの人にとっても、同じように過ぎていくと思っていませんか。実は、電車に乗っている人と、地上にいる人で、時は同じには過ぎていないのです。一体どういうことか、むずかしい式など使わないで考え、理解してみましょう。
A 「温度とは何だろうか?エントロピーとは何だろうか?」
温度という言葉は日頃よく使いますが,絶対零度という言葉も聞いたことがあるかも知 れません.絶対零度は摂氏で約 -273 度で,それ以下はない最低の温度ですが,どうしたら,温度にはその様な最低値があることが推論できるでしょうか?また,温度計に用いられている物質が凍りついて使えないような低い温度で,そもそも温度をどの様に定義すればいいのでしょうか?また,海水の持つ膨大な熱エネルギーをほとんど無尽蔵のエネルギー源として使えないのはなぜでしょうか?これらの問題をエントロピーというキーワードを使って考えてみましょう.
B 「流れの物理」
私たちは毎日、風、川の流れ、水面の波等の流れの現象を目にしています。このような流れの物理法則を明らかにすることが流れの物理(流体力学)の目的であり、水力機械、運河、風車等の応用に関連して古くから研究されてきました。現在では水や空気の流れのほかに、宇宙の気体モデル、大気の運動、海流、生体内の体液の流動等が研究対象とされています。この講義では流れの基本的な性質から、最近の話題までを解説します。
C 「金属と絶縁体」
いろいろの結晶(固体)が金属になったり絶縁体になったりするのはどうしてでしょうか。この問題は、古くて新しい固体物理学の最重要課題の一つです。この講義では、実験や測定の問題等を含めながら、金属と絶縁体について考えてみましょう。
D 「自然は何からできているのでしょう」
私たちを取り巻く自然は、数えきれないほどの種類のさまざまな物質からできています。自然は、人間も含めて多種多様な物質がからみ合いながら複雑な現象を見せています。人間は文明が発生した昔から、「自然(=物質)は何からできているのか?」というもっとも基本的で根源的な疑問をいだいてきました。現代の最先端の物理学においても依然として、この問いに対する答えを見い出そうという努力がなされています。現在までに分かったこと、まだ分からないことについて解説します。