夜空を見上げると星がまたたいて見えますね。私たちの目が
星からの可視光(波長 350 nm から 750 nm 程度の電磁波)を捕らえているからです。
では電磁波の波長をもっと長くしてゆくと?赤外線や電波になります。そこでは何が見えるでしょうか?
またもっと短くしてゆくと?紫外線やX線、γ線になります。
こんな高エネルギーの光を出している天体なんてあるのでしょうか?答えはイエスです。
夜空は様々な天体の様々な波長の光で輝いています。
天文学、宇宙物理学では宇宙の成り立ちや天体の性質を調べるために、
波長の違う光で空を見て、総合的に情報を得ることで、宇宙を知ります。
本講義では、私が専門とするX線天文学を中心に、最新の宇宙観測と将来計画について紹介します。
ひとくちに物理学と言っても様々な分野がありますが、そのなかでも素粒子物理学は独特の位置を
占めるものです。多くの物理学者は、すでに知られている自然法則(電気や磁気の法則など)の
範囲内で、物質の興味深い性質や宇宙で起きている不思議な天体現象などを理解しようと努力します。
しかし、素粒子物理学者の研究対象は自然法則そのものです。
自然法則は「美しく」あるべきという信念のもとに様々な実験や観測の結果を参照しながら、
その「究極の姿」を追い求めています。素粒子物理学のこれまでの歩みの一部を紹介し、
その魅力を感じていただきたいと思います。
超伝導体では、通常の物質では起こらない、常識を超えた現象が観測されます。
この「超伝導」現象は、ミクロな世界を支配する量子力学の効果が、
私たちの目に見えるマクロな世界に顔を出すことによって実現しています。
そのなかで特徴的な性質は、電気抵抗がゼロになること、磁場を完全に排除するマイスナー効果が
挙げられます。これらの性質を応用して磁気浮上状態で走行するリニアモーターカー(JR 式マグレブ)や、
身体の断層写真を撮影できる磁気共鳴画像診断装置(MRI) などが実用化されており、
これ以外にも超伝導ケーブルによる超長距離送電も実用化のめどが立ってきています。
超伝導のもつ特性を利用した他の応用例は、
波動関数の位相に関連した「ジョセフソン効果」と「磁束の量子化」を利用した、
超高感度磁気センサーである超伝導量子干渉素子(SQUID) があります。
従来の磁気センサーの 100 倍の感度があり、脳や筋肉が動くときに出す微小な磁気の変化まで
捉えることができます。まだ実用化は遠いのですが、ジョセフソン効果を利用した超伝導トランジスタは、
スーパーコンピュータや量子コンピュータへの利用が期待されています。
このように超伝導体はエレクトロニクス・エネルギー・輸送・医療といった様々な産業分野にとって、
とてつもないメリットを生むまさに夢のような物質なのです。
学生・院生が、大学でどんな勉強や研究をしているかや、大学で扱う物理の分野を紹介したり、
「高校生のうちにどんな事をすればいいのか」などのご質問にお答えしたりと、
2時間くらいにわたって様々なお話をしました。