2004年度講座

研究室訪問の及びお茶会の写真

テキスト及び概要

「量子論での物の見かた」…田中 篤司 助手
量子論は, 原子や分子のような、微視的な世界を記述するために、20世紀初頭に生まれました。 それ以来, 物理学は急速に進展してきましたが、依然として、量子論は物理現象の記述の基盤をになうものです。量子論は、日常わたしたちが素朴に用いているものとは全く異質な物の見かた、例えば、電子の"波動性"や、光子の"粒子性"といった考えをもたらします。この講義では、量子論を、そこでの物の見かたに力点を置いて紹介します。

「クォークって何?」…浜津 良輔 助教授
ギリシャの哲学者デモクリトスは、私たちの回りのすべての物質は目に見えないほどの小さなブロックが組み合わさってできていて、そのブロックの一つ一つは永遠に変わらないにちがいない、と考えました。そしてこのいちばん小さなブロックを「アトム」と名づけました。それ以来人類は、今日まで数々の巨大な粒子加速器を作っては、「アトム」を探し求めてきました。そしてクォークという「もの」を見つけ出しました。
クォークは本当にいちばん小さな「もの」なのだろうか?
クォークは本当に永遠に変わらない「もの」=「アトム」なのだろうか?
私たちは今、ハンブルグ(ドイツ)に世界中から集まった物理学者と一緒に、超巨大な電子顕微鏡(HERA,電子-陽子衝突加速器)でクォークを「見て」、この謎の答えを見つけようとしています。オープンクラスでは、人類はどのようにしてクォークを見つけ出したのか、クォークの性質は、クォークはどんなに小さいのか、物質がクォークで出来ているのなら何がクォークを結びつけているのか、など、これまでに判っていることと、いまもなお判らないことについて解説します。

「相対論100年?現代の宇宙観」…政井 邦昭 助教授
私たちの宇宙はビッグバンから始まって膨張を続けていると考えられています。その歴史の中でさまざまなスケールの構造が形成され、今日見られるような銀河や銀河団、またそれらを構成する物質がつくられたと考えられています。このような宇宙や天体の起源、また4つの力の理解に大きな役割を果たしたのが、20世紀初頭に登場した相対論と量子論、そして場の理論です。相対論・量子論が誕生してほぼ100年。現代物理学の大きな柱となっているこの2つの理論、とくに相対論の考え方を説明しながら、現代の宇宙物理学が解き明かしてきた宇宙の姿やブラックホールなどの特異な天体について紹介したいと思います。
テキスト1(PDF 94KB)
テキスト2(PDF 123KB)